2013年12月17日火曜日

可否道か

「可否道」より なんじゃもんじゃ、という映画をTVで観ました。

1963年日本映画、主演は故森光子さんです。ほかの出演者は、川津祐介、加賀まりこ、加東大介、松村達雄、柳家小さん、長門裕之という面々。

内容は、森さん扮する中年女優をめぐる軽いタッチの恋愛ドラマです。主人公(森さん)はコーヒーを淹れる腕前が天才的という設定、その美味しいコーヒーをめぐってストーリーが二転三転します。

映画の冒頭で森さんがコーヒーを淹れるシーンが出てきます。片手で持てないくらい大きな手挽きのミルで豆を挽き、コーヒーポットのふちにネルを掛けてドリップします。

でも、天才的な腕前と言いながら、ごく普通の広口やかんを使い無造作にダボダボと豆にお湯をかける所作からは、あまり美味しいコーヒーのイメージは湧きません。

対して、可否道というコーヒーの家元制設立を企てる男たちは、難しい顔をして豆の銘柄を当てる利きコーヒーをしたり、多様なコーヒーの淹れ方の研究に余念がありません。

女が何の配慮や理屈もなくあっけらかんと淹れたコーヒーが、そんな求道者的にコーヒーを追求する男たちを虜にするというエピソードに僕はなんだか感じ入っていました。

しかも、女の気持ちが滅入っている時はコーヒーも不味くなってしまうというシーンもあったりして。

理屈や知識、それにある種のトレーニングだけでは説明できない何かがコーヒーにはある、この映画が語りたかったことはたぶん別にあるのでしょうが、観終わってそんな想いが残りました。