珈琲は巷で語られているより、実はものすごく自由度が高いのです。
90度前後のお湯を使え、豆は挽き立てにしろ、ドリップはあしてこうして慎重に・・・などなどプロからアマチュアの愛好家まで、マニアはやたら注意事項を並べるのがお好きです。
でも、このアプローチ、あまたあるコーヒーの楽しみ方の一つにすぎないということをお忘れなく。
理屈はさっぱりだけど、コーヒーは大好き!っていう人のほうが大多数なのです。
当店も大半はそのようなお客様に支えられているのでございます。
マニアライクなお客様と理屈抜きにコーヒー好きなお客様、どちらも接客して楽しいものです。
このあいだ、理屈抜き系のお客様が面白い話をしてくれました。
その方は一度ドリップしたコーヒーを捨てずに、もう一度使うのだそうです。
「ココの豆は2度目も美味しいよ」とニコニコおっしゃいました。
聞いた時、即座に僕は、映画「動く標的」のポールニューマンを連想しました。
冒頭、起き抜けのポールニューマンがコーヒーを淹れようとするけどストッカーは空、しょうがないのでフィルターごと捨ててあった豆でもう一度コーヒーを淹れる、というシーンがあります。
当店の豆じゃないのでニューマンさん、一口飲んで不味そうに顔を歪めます。
コーヒー豆の二番絞り、マニアは決してそのようなことはやらないでしょう。
いくらコーヒーの自由度が高いといっても、さすがにこれはちょっとなのかもしれません。
でも、とにかくコーヒーがものすごく好きっていう気合を感じるいい話だなと思いました。