僕たち日本人とコーヒーの最初の出会は、江戸時代にさかのぼります。
所は、長崎の出島に設けられたオランダ商館であります。
出島でオランダ人と親密に付き合いのあった日本人通訳と遊女たちが、最初にコーヒーの洗礼を受けたとされています。
ここでちょっと面白いのは、男(通訳)より、女(遊女)のほうがよりコーヒーに積極的だったということです。
その証拠に、オランダ人から遊女たちへの贈り物リストの中に、コーヒーポットやカップ、豆の記載が残っているそうです。
遊女たちは専用の器具でコーヒーを淹れ、ちゃんとしたカップでコーヒータイムを楽しんだという事実をうかがい知ることができます。
それに比べ当時の日本男子は、「焦げ臭くて飲めたもんじゃない」となかなかコーヒーを受け入れることはありませんでした。
このエピソード、直球モードで男の保守性と女の革新性の違い、みたいな話に仕上げていいのかもしれません。
でも、僕はオランダ人と遊女の関係に、ちょっとロマンチックなイメージを重ねたくなります。
遊女たちの幾人かは、接するオランダ人を本気で愛したがゆえにコーヒーも好んだのではないかと。
異国の閉鎖空間での男女関係、いろいろあったに決まってますよね。