2013年6月26日水曜日

女性を敵に回すとこわい!

今日も雨、しかも少々荒っぽく降っています。

「コーヒーが廻り世界史が廻る」の中から、エピソードをひとつ。

18世紀初頭のロンドンで、コーヒーハウスが大ブームになります。しかし、数十年後には紅茶(ティーハウス)に駆逐されてしまいます。

珈琲から紅茶へ、この選手交代はどうして起こったのでしょう?、というのがテーマです。

一般的に大英帝国政府の陰謀説が語られるケースが多いし、僕も本書を読むまでそう思っていました。
植民地に紅茶の産地があります、その国内需要拡大の為にライバルのコーヒーを迫害したという説です。コーヒーの悪癖を表に裏に喧伝し、人々をコーヒーから遠ざけたという話。

著者もこの陰謀説も含めいくつか推論を重ねますが、彼の着地点はなかなか面白い場所でした。

「女性の支持が得られなかったこと」、これがコーヒーハウス衰退の理由だと本書では読み解きます。

ロンドンのコーヒーハウスは、「男の城」であり「女人禁制」的存在だったのです。
男達は昼日中より足しげく通い詰めます。そしてコーヒーをすすりつつ、とりとめのないおしゃべりを繰り返すことに熱中するのです。
我慢ならないのがコーヒーハウスに彼氏や旦那を奪われた女性達。坊主憎けりゃナントやらで、彼女達の憎しみの対象はコーヒーハウスとコーヒーそのものに向けられるようになります。

コーヒーが彼氏や亭主を奪った、というのが彼女達のご意見。コーヒーはすっかり女性の敵になってしまいました。
そうこうするうちに、トワイニングさんがティーハウスをオープンします。この紅茶の店は、美しさと気品に溢れ女性達の支持を一気に集めます。

かくして女性達を味方につけた紅茶は、ご家庭や職場などいたるところで愛飲されるようになり、女性の敵となってしまったコーヒーは衰退してしまうというストーリー。

なるほど政府陰謀説より説得力アリだな、と僕は思います。

女性を怒らせるとどんな結末になるか、それなりに身にしみて理解できるワケでもありますし・・・。

バケツをひっくり返したような雨